家庭医療とは?
家庭医療とは、臓器や年齢、性別など医学的な専門性にとらわれず、患者さんならびに地域住民の健康問題を幅広く担当する分野のことをいいます。そして、それを提供するのが家庭医です。内科医、小児科医、外科医などに比べてあまり聞きなれないかもしれない”家庭医”とは、どんな医師なのでしょうか?
家庭医は、健康問題をいろいろな視点で診ます
みなさんは、なぜ病院を受診されるのでしょうか。同じ健康問題であっても、その人が病院にかかる理由は様々です。例えばかぜをひいたとき。症状が辛いのはもちろんですが、週末に大事な部活の試合が控えた中学生、おなかの赤ちゃんに影響がないか心配な妊婦さん、高齢の家族にうつしてはいけないと不安になる介護者の方など、そこには様々な背景があります。人が抱える健康問題には、身体の問題の他、心の問題、さらに周りの人や経済的なことなど社会的な問題も大きく影響しています。このような視点で人の健康問題を理解しようと提言されたものを、生物心理社会モデルといいます。
家庭医は、このモデルを用いて、患者さんの持つ背景も含めてまるごと理解しながら一緒に問題解決へ導く、患者中心の医療を展開していきます。日常におきる様々な健康問題について、気軽にまず相談できる存在でありたいと考えています。
家庭医は、患者さんの家族を診ます
家族は、患者さんの健康についての考えや行動に大きな影響を与えています。家庭医は、目の前にいる患者さんの他、診察室にいない家族のことも考えながら診療を進めていきます。家庭医療の中では、「家族志向型ケア」として位置付けられています。
家庭医は、お住まいの地域における健康問題に目を向けます
患者さんは、地域に住んでいます。患者さんの健康問題は、その地域全体の健康問題の一部でもあります。例えば、高齢者が多く雪かきができないため病院に受診しにくい地域、坂が多く転倒を繰り返す方が多い地域、地域のサロンが充実して健康な方が多い地域など、地域によって特徴は異なります。
家庭医は、時に診察室の外にも焦点を合わせて、地域全体の健康問題を把握し、目の前の患者さんの問題に活かしていきます。
家庭医は患者さんの現在だけではなく過去未来に焦点をあてた診療を行います
現在目の前にいる患者さんには様々な過去があり、そしてこれからの未来があります。個人のライフサイクルにおいて、それぞれの時期で健康に関するよくある問題が存在します。家庭医は日常診療の中で患者さんの人生に対する視点も持って診療にあたります。さらに家族全体としてもライフサイクルがあり、家庭医はその点にも着目して診療にあたります。
家庭医は、医療・介護・行政と連携します
日常診療の中で、医師一人の力、一つの診療所の力だけでは問題が解決できないことも多々あります。家庭医は、様々な医療機関や介護事業所、さらに行政と連携しながら、患者さんの健康問題について一緒に取り組んでいきます。
家庭医は常に学び続け、さらに診療所をチームとして成長させることを目指します
医療は日々刻刻と進化し続けています。家庭医は常に自己研鑽し、さらにクリニックがチームとして成長して、よりよい医療をご提供していくことに努めます。